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文学の醍醐味を味わえる名作を教えてください [レポート]

先日、Twitterとmixiでこんな募集をしました。

  • kaenfukamorikaenfukamori【緩募】文学を一から学び直そう、としてます。そこで、みなさんが思う、文学の醍醐味を味わえる、一生に一度は読んでおいたほうがいい名作を教えてください。もう一度、心の底から「文学っていいな」と思ってみたいのです。60冊ぐらい読む目標です。よろしくお願いします。02/14 23:20


これに対して、本当に本当に多くの方が拡散してくれたり、おすすめを教えてくれました。
みなさん「学び直し」というところに気を使ってくださったようで、王道すぎるところは外して教えてくださったのがとても嬉しかったです。また、「それでもこれがいいんだよ」と教えてくださった王道の小説は、それはそれ、誰が、何度読んでも間違いないね、というタイトルのものが集まっていておもしろい内容になりました。

せっかくこんなにたくさんいい本を教えてもらったのに、自分だけが知っているのはもったいない!と思い、こうしてブログのなかでまとめてみることにしました。
なお、文中の小説に対する解説は、教えて頂いたときの説明や自分で調べた結果を元に、私が書いています。
また、この記事は私の備忘録としての役割もあるため、教えて頂いたものだけでなく、自分が読む予定の本も含まれています。
それでは、前置きはこの辺にして。

■『学問』/山田詠美
 山田詠美読むならこれ。

■庄野潤三
 小説をあまり読まない物書きさんが、唯一小説ですごいと思った人。描写がすごいらしい。

■『戦争の法』/佐藤亜紀
 文学に対しての真っ直ぐな表明。『バルタザールの遍歴』もよさそう。

■『IT』/スティーブン・キング

■『知と愛』/ヘルマン・ヘッセ
 『シッダールタ』以降の作品。

■『大菩薩峠』/中里介山
 1913年~1941年に都新聞・毎日新聞・読売新聞などに約30年にわたり連載された長編時代小説。話は幕末から明治に入らずに架空の世界へと迷い込み、作者の死とともに未完に終わった。最長の小説を目指して書かれており、同時代では菊池寛、谷崎潤一郎、泉鏡花、芥川龍之介らが賞賛した。

■『1973年のピンボール』/村上春樹
 春樹読むならこれ。

■『カラマーゾフの兄弟』/ドストエフスキー

■『宣告』/加賀乙彦
 「あす、きみとお別れしなければならなくなりました」

■『ドグラ・マグラ』/夢野久作

■『哲学者の密室』/笠井潔
 現象学的本質直感によって密室ばかりか、その背後の「死の哲学」の謎をも解き明かしていくミステリー。

■『芋虫』/江戸川乱歩

■『僕は模造人間』/島田雅彦

■『天皇の世紀』/大佛次郎
 幕末維新を舞台にした時代小説。

■『ラーラはただのデブ』/シェリー・ベネット
 鬱要素満載の青春小説だが、最後は不思議と明るめに締めくくられる名作。
 タイトルになっている時点でただのデブじゃないと思う。

■『クオ・ワディス』/シェンキェヴィチ
 ローマ皇帝ネロの統治時代を描いた作品。ノーベル文学賞受賞者。

■志賀直哉
 短編小説の神様。話は初期のほうがおもしろいけど、後期の情景描写ばかりの作品も味わい深い。

■『堕落論』/坂口安吾
 歴史を突き放してみつめた安吾の評論集。

■『モモ』/ミヒャエル・エンデ

■『ホテル・ニューハンプシャー』/ジョン・アーヴィング
 ホテル経営を目指す父とその家族の話。究極のおとぎばなし。

■『ブリキの太鼓』/ギュンター・グラス
 言葉のリズムがおそろしく良い。

■『百年の孤独』/ガルシア・マルケス
 10ページ読んでだめだと思ったら諦めること。

■『ムントゥリャサ通りで』/ミルチャ・エリアーデ

■『やし酒のみ』/チュツオーラ
 池澤夏樹個人編集世界文学全集の第一巻に入っている。

■『痴人の愛』/谷崎潤一郎

■『壁』/安部公房

■『遮光』/中村文則
 闇、喪ったものを繰り返し書く作家。芥川賞候補作。

■『家守綺譚』/梨木香歩
 2005年本屋大賞ノミネート作品。舞台は著者の作品には珍しく100年前。

■『昔日の客』/関口良雄
 古本屋の店主関口良雄氏による遺稿集の復刻版。しずかな味わい。

■『嵐が丘』/エミリー・ブロンテ
 軸はラブストーリー。

■『蛍坂』/北森鴻
 旨い料理とミステリー。短編オムニバス。

■『こころ』/夏目漱石

■『斜陽』/太宰治

■『細雪』/谷崎潤一郎

■『雪国』/川端康成

■『愛と死』/武者小路実篤
  「人生にどうして死という馬鹿なものがあるのか」

■『銀河鉄道の夜』/宮沢賢治

■『風の歌を聴け』/村上春樹
 「小説を書くことの意味を見失った時この文章を思い出し勇気付けられた」と本人が言っている。群像が初出。

■『城の崎にて』/志賀直哉
 短編小説。首に串が刺さった鼠。

■京極夏彦
 ミステリーならこれやで。

■堀江敏幸
 いっぱい賞取ってる。著作より選考委員で名前見たことあったのかも。

■『春琴抄』/谷崎潤一郎

■『点と線』/松本清張

■『黒い雨』/井伏鱒二

■『第一阿房列車』/内田百閒

■『十九歳の地図』/中上健二

■『悪童日記』/アゴタ・クリストフ


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とりあえずこの辺で。
また少し追記するかもしれません。

自分じゃ絶対こんな本みつけられなかったな、という本がそろって、とても感謝しています。
ありがとうございました! がっつり読ませていただきます。
******
どうしていま、60冊読んでみようと思ったかというと。
過去の自分の文章を一通り全部読み直してみて、「自分なりの文学のゴールがみつけられてない」というのが全部の問題の根幹にあるように思ったから。
目指すものがわからないから、右往左往する、前に進めない。
それはいつか、「書いているうちにみつかる」と私は思っていたけれど、そうじゃなかったみたい。

私の価値観は、一度粉々に壊れたことがある。そこで自分の人生はいったん死んでしまった。
小説はそれでもなんとか息を吹き返してほしくて、なんとかかんとかやってきた状態だったけど、一度死んだものは生き返りはしないんだね。そういうことが、何年もかけてやっとわかった。

生まれ変わることならあるかな。
最後の賭だな、最後にしいや。
そういうわけで、一度きちんと死んでくることにしました。

今書いている「ゆく河の~」を最後まで書き終わったら、活動休止宣言をして60冊読む生活に入ります。
もしも、60冊読んで、自分なりの新しい文学観が生まれなかったら、もう小説における文学の道は諦めます。
そういう60冊だから、自分の知らない人のおすすめじゃなくて、どこかしら自分と繋がりのある人からの本を選びたかったのです。(これはちょっと後付けなんだけど)

60冊にしたのは、私は読むのが遅いからそんなにたくさんは読めない。
大体50冊も読めば、最低限のジャンルは網羅できるだろうけれど、それじゃジャンル同士の繋がりが見えてこないだろう。だからプラス10冊して計60冊にしました。

*****
2012/07/21 追記
現時点で、活動休止宣言はしていない、けれど、60冊読み始める活動はしている状態です。
思っている以上に、「ゆく河の~」を最後まで書ききれる時期が後ろに延びそうだったため、並走運転としました。
まだ読み始めの状態ですが、「文学の存在理由」はおぼろげに、見えてきたように思います。
それが自分にできるかどうかはまた別問題として。

居場所がほしい。
自分と社会とをしっかりと結んでくれる居場所が。
居場所を作るための力がほしい。
自分が生きていることを自明にする力が。

きっとそれがはっきりできるようになるまでは、どんな道を選んだとしても「私」は瀕死の状態なんだよなぁ、結局は。


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きりえぽん

「私の価値観は、一度粉々に壊れたことがある。そこで自分の人生はいったん死んでしまった。
(中略)
一度死んだものは生き返りはしないんだね。そういうことが、何年もかけてやっとわかった。

生まれ変わることならあるかな。
最後の賭だな、最後にしいや。
そういうわけで、一度きちんと死んでくることにしました。」

なんとも感動してしまいました・・・ので、コメントというか足あとを。
一覧の小説は、合間を見て私も読んでいこうと思います。

by きりえぽん (2012-02-19 22:00) 

kaen

>きりえぽんさん

コメントありがとうございます。
心に響いた言葉があったようで嬉しいです。

自分もここからが正念場です。

(追伸:誤記っぽかったので2件目のコメントだけ承認しましたよ)
by kaen (2012-02-21 12:35) 

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