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第十五回文学フリマ(2012/11/18)購入作品感想 その1 [レポート]

だいぶ遅くなってしまいましたが、文学フリマの購入作品の感想第一弾です。
今回も前評判を一切聞かずに、見本誌コーナーにある作品をすべて拝見させて頂いたうえで、欲しいと思った作品だけを買いました。

このレポートでは、感想第一弾として「絶対買いたい!」と思った3冊の紹介と感想を述べたいと思います。
感想はいいと思ったところ、もう一歩!と思ったところを一箇所ずつ述べるようにしています。
「もう一歩!」というのは、自分だったらもっとうまく書ける、という意味ではありません。
それならば書評家が世の中で一番いい小説を書けるはずです。
そんなわけで「てめーにいわれたかねーよ!」と思うところはあるかもしれませんが、一意見として聞いて頂ければ幸いです。

なお、購入する際、以前に2作品以上買ったことのある人の作品はなるべく避けるようにしています。
いろんな作家さんの作品を読んでみたい、という気持ちが強いので。

前置きはこの辺にして。
では、早速。


■「音楽の花嫁」著=渋澤怜
設定の面白さが際立っている作品でした。この世界観を楽しみたいという気持ちだけで、最後までぐいぐい引っ張られました。
…どんな設定だったのかは説明するよりまず読んで頂くのがよさそうなので、ここでの言及は控えます。
次から次へと予想外のできごとが起こるさまは「不思議の国のアリス」を思わせます。
描写のとてもうまい作家さんで、凡ミスがない印象でした。
しかし、凡ミスがない分、「このシーンで書くべきことは本当にこのことだったのかな」と思うところが目につきました。
たとえていうなら、それは目が泳ぐぐらいの小さな動きなのですが、描写がうまいために意図的でないであろうことが伝わってしまった感じでした。

■「よいとな 第2号  特集 地図」編集発行人=小川貴之
色彩、コンテンツ、その双方でバランスがとても良くて、手に取った雑誌です。
黒い表紙から始まって黄色、白、赤、青…内容も旅行記から小説、漫画、詩、写真と盛り沢山なのにうるさく感じない。
「地図」という特集に対する切り口も、各人で異なっていて、編集に携わった方の手腕を感じました。
コンテンツのなかでは「うちの子なのに」(著=潮なぎさ)が印象的でした。「やられた!」と思わず心で叫び、二度読みしました。
テーマをより深く掘り下げ、コンテンツ同士をつなぐような何か(落語の前説みたいなかんじでしょうか)があると、一度読んだら終わりな雑誌じゃなくて、繰り返し読む雑誌になるんだろうな、と思いました。

■「トレモロ」著=見崎彰広
私も書いてる幻想小説分野で「お!」と思った本です。
構成がとにかく美しい。設定、言葉の選び方、ページ割のすべてにおいてかたちや質感が重要視されている印象を受けました。
奥付のプロフィールを見て美大卒と知りおおいに納得でした。絵画的に文章をとらえる方なんだろうな、と思いました。
絵画的、な裏返しでもあるのですが、物語の要素は薄めです。落ちがない、というか。
個人的には、それも持ち味にして、確信犯的にひたすら描写を重ねる作品にしたらいいのでは、と思いました。
作品に描かれている世界は充分美しいので。


~感想第二弾に続く~

タグ:文学フリマ
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