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更地の電柱 [日記]

曲がり角の家が解体されて、辻の一角は更地になった。
角を曲がる前に、もうその先の風景が見えている。
すっきりしたがらんどう。さっぱりした風の吹きぬける光景。の、はずだった。
(・・・目障りだな)
何をこんな中途半端なところに突っ立っているのか。

--更地の、角に立つ電柱。それが急にうっとうしく見えた。道路に寄るでもなく、でくのぼうのようにぼうっと立ち、私の歩く道を狭くしている。今まで気にもならなかった、真っ直ぐな姿。それは錯覚だった。
流されず、凛と立っているように見えて、実は誰かにそっと寄りかかっていた。

邪魔だ、とぶつけられて、倒れてしまったら大変だ。
胸にお花の模様を描いてあげよう。
茎のようにしなやかに、折れたりしないおまじないをかけるのだ。


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